計算方法(時価純資産)


コストアプローチ(時価純資産法など)について説明します。

時価純資産額法とは、特定時点の財産価値に着目した算定方法です。貸借対照表の各項目を時価で評価し直しますので、客観的な評価額と考えられます。

この評価方法では、未確定な将来収益を織り込まず「資産の時価評価合計から負債の時価評価合計を差し引いた価値」を株式評価価値とします。例えば、債権の回収可能性の観点から売掛金の内、長期に回収できていないものや、長期滞留している棚卸資産を時価評価し、土地の簿価と時価の差額を加減算し、減価償却が適正に処理されているかどうか、更には、貸借対照表に計上されていない未認識の退職給付債務や保証債務等の簿外資産も考慮します。時価純資産法は、確度の高い時価算定を行えば、特定時点における対象会社について客観性を持つ財産価値を導出できます。

時価純資産法ですと、将来収益が価値に反映されないので、低めの評価額になる傾向があり、売り手側が満足する結果になりにくい傾向があります。この欠点を解決するため、営業利益の2~5年分位を暖簾代として、時価純資産法で算出された株式価値に加算する方法がとられます。営業赤字の会社は論外です。業種から見ると、金融関連事業や不動産を多く保有している会社などの取引で用いられることが多いと言えます。