M&Aを行う意味とはなにでしょうか。
M&Aとは、単純な合併、買収のみならず、事業統合や資本提携なども含めた経営戦略遂行上の重要な手段です。
各企業を取り巻く環境の急激な変化やビジネスサイクルが短期化した結果、自社が競争優位を獲得するために、経営資源を内製化する時間や、これに伴う成功率の低さを許容する余裕が無くなり、すでにそれらを保有している企業から譲渡を受けるか、企業自体を買収、合併する手段をとり、他社によって構築された経営資源を自社の中に取り込む作業が必要になります。
逆に、費用対効果に合わない経営資源を保有する企業は、この経営資源をより有効に活用できる企業へ譲渡して、投資の回収を検討する必要が出て来ます。
M&Aの本質とは、競争優位を獲得するために必要な経営資源を迅速かつ効率的に行うために、既に他社によって確立された経営資源を取得することですので、M&Aは経営資源を調達する手法の中で、そのスピードと効率性において最大のメリットをもたらすことになります。
従いまして、M&Aの目的は、企業を譲渡受する事ではなく、M&Aを通じた企業価値向上を実現させる事になります。大切なのはM&A後の姿をいかに想像していくか、にあると考えます。
M&Aの検討で最も重視すべき点とは、M&A後に被買収企業とのシナジー効果が発揮され、お互いの企業価値が向上するかどうかを検討することです。
M&Aを成功している企業を観察しますと、以下の3つの要件を満たしています。
1)自社のコア事業領域若しくはその関連事業領域に限定したM&Aを行っています。
2)買収側企業には、被買収側企業よりも優れた経営システム(これは企業毎に異なる)があり、この経営システムは、被買収側企業に移入する事で改善効果が直ぐに現れる様にその産業・業務内容・事業経営など買収側企業の知見や事業経営経験に基づいて設計されています。
3)買収企業側のシステムを被買収側企業に移入して、確実に買収企業側のシステムを周知徹底させ、被買収側企業の企業価値向上を実現しています。